駅ポスター
駅のポスターから、ジビエが売れる
― 山の幸うり坊屋 × JR東海10駅
※ 実施結果の数値は非公開とさせていただいています。
ポスターを「売り場」として使う
交通広告は、認知を取るための媒体として使われるのが普通だ。見た人が後から検索し、店に行き、あるいはECサイトを探す。ポスターと購入のあいだには、いつも距離がある。
2023年10月、JR東海の10駅で実施したこの施策は、その距離をゼロにする試みだった。掲出したのは、飛騨のジビエを扱う山の幸うり坊屋 飛騨狩人工房のポスター。「この場で当たる! 極旨ジビエ」というコピーの下にNFCタグとQRコードを仕込み、スマートフォンをかざせばその場で抽選に参加でき、そのまま購入まで進める導線をつくった。抽選・販売・決済を担ったのがGuildだ。
賞品は熊鍋セット(1万円相当・送料込)。参加はひとり1日1回まで。1か月弱の掲出期間、10駅のポスターがそのまま抽選会場であり、売り場だった。
掲出した10駅
高山、下呂、名古屋、木曽福島、中津川、勝川、津、伊勢市、静岡、浜松。主要ターミナルから観光地の駅まで、性格の違う10駅に掲出した。掲出場所も駅によってさまざまだ。
同じポスターでも、通路に面しているかどうかで反応がはっきり変わった。歩きながら目に入り、立ち止まれる場所かどうか。これは駅に限らず、ポスターを使うすべての施策に効いてくる話だと思う。
NFCとQR、両方を用意する意味
ポスターにはNFCタグとQRコードの両方を載せた。
スマートフォンをかざすだけで反応するNFCは、カメラを起動して読み取るQRより一手間少ない。一方でQRは端末を選ばず確実に動く。実際、駅によってどちらが使われるかの傾向にははっきり差が出た。両方載せておく判断は正しかったというのが実施後の結論だ。
「当たる」が、かざす理由になる
今回の設計でもうひとつ効いたのが、抽選を入り口に置いたことだ。
いきなり「買ってください」と言われても、駅を歩いている人は足を止めない。だが「この場で当たる」なら、かざしてみる理由になる。そして実際には、抽選の当選商品以外の商品も売れた。熊串などがそれだ。抽選は入口であって、出口ではなかったということになる。
かざしている時間から推測すると、ひとりではなく友人同士やグループで一緒に試している様子も目立った。駅のポスターが、その場のちょっとした話題になっていた。
この施策からわかったこと
- 交通広告からの直接購入は成立する。ポスターは告知媒体であると同時に、売り場になり得る
- 抽選のような「その場で試す理由」があると、かざす行動が生まれる
- 掲出場所(通路に面しているか)が反応を大きく左右する
- 遠方から訪れた人の利用もあり、駅という場所の特性がそのまま結果に出る
- 掲出期間の後半ほど利用が伸びた。置きっぱなしにするほど効くタイプの施策と言える
マルシェから駅へ、そして施設へ
Guildはもともとマルシェの出店管理アプリだ。出店者から出店料を受け取り、商品の販売と決済を回す。その仕組みは、「ポスター1枚から商品を売る」という形にそのまま転用できる。
この駅での実施が2023年。そして2026年8月からは、スポーツジム10店舗で同じスキームが本稼働している(→ コパンスポーツクラブ × ケーキハウス アンの事例)。
人が集まる場所に、掲出できるスペースがある。それだけで売り場はつくれる。
ポスター1枚から、商品は売れます。
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